解決事例
解決事例
依頼者Aさん(女性 50代)のお母様であるHさんは、令和元年に亡くなられた。
Hさんの相続人は、長女であるAさんと、長男であるBさん(男性 60代)の2名だった。
さんの主な財産は自宅土地建物(時価1000万円前後)であったところ、その自宅土地建物は、平成23年にBさんに贈与されていた。
Aさんは、Hさんの生前には、自宅土地建物がBさんに贈与されていたことを聞かされていませんでした。
Aさんは、Hさんが亡くなられて暫く期間が経過した後、法務局で登記情報を調べて、初めて贈与の事実を知り、ご自分に何も残されないのは納得がいかないと、当事務所の弁護士に法律相談をされました。
当事務所の弁護士は、Aさんから、Bさんに対する遺留分侵害額請求事件のご依頼を受け、Bさんに対し自宅土地建物の4分の1相当額にあたる金額を支払うよう請求をしました。
Bさんは、当事務所の弁護士に対し、AさんがHさんの生前に多額の贈与(特別受益)を受けているから遺留分を支払う必要はない、との主張をされました。また、当方が主張する自宅土地建物の査定額についても「高すぎる」と主張されました。
話し合いによる解決は難しい状況であったため、遺産分割調停を申し立てることになりました。
Aさんとしては、Hさんの生前に多額の贈与(特別受益)を受けたことはないことからその旨を主張し、Bさん側からも生前贈与の証拠は提出されませんでした。
遺産分割調停手続の結果、Aさんの特別受益はないということを前提として、BさんがAさんに対して約240万円を支払うとの調停が成立しました。
本件では、AさんとBさんとの関係が疎遠になってしまっていたこともあり、Aさんの特別受益や土地建物の査定評価について、話し合いが困難な状態でした。
このため、速やかに調停手続きに移行したところ、調停委員の方々のご尽力もあって比較的早期に解決を得ることができました。
依頼者Aさん(女性 60代)のお母様であるHさんは、平成27年に死亡され、その相続人は長女であるBさん及び二女であるAさんの2名でした。
Hさんの遺産としては、不動産(ご自宅土地建物や賃貸駐車場など)や預金、有価証券など相当額がありました。
Hさんは、九州以外の某県でBさんと同居されていた時期が長く、亡くなった際も某県の病院に入院されていましたが、Bさんが格別介護等をされていたというような事情はありませんでした。
上記の事例を前提とすすると、Hさんの遺産はAさんとBさんの2名で平等に分割すべきことになります。
しかしながら、Hさんとの同居期間が長かった長女であるBさんは、ほぼ無価値な一部の不動産を除いて全財産を自分が相続されたいという意向で、Aさんとの分割協議を進めようとしませんでした。
また、AさんとBさんとの関係が良くなく、話し合いが困難な状況でした。
そのような中で、BさんからAさんに対し、印鑑証明書を送るように要求する連絡があったことから、Aさんは不審に思い、当事務所に対応を依頼されました。
当事務所の弁護士は、Aさんの代理人としてBさんに対し内容証明郵便を送付し、遺産分割の協議を求めましたが、回答がありませんでした。
そこで、某県の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てたところ、Bさんに代理人弁護士がついて、ようやく話し合いが進むことになりました。
調停の中で相手方代理人弁護士は、遺産の評価額は3200万円以下である、AさんはHさんの生前に自宅を建築した際に多額の贈与を貰っている、等の主張を展開されました。
他方、当方は、遺産の評価額が4200万円以上である、生前贈与は受けていない、等の主張をしました。
遺産の不動産等の大半をBさんが取得する代わりに、Aさんが2400万円を受領するという調停が成立しました。
遺産の評価額については、主に不動産の評価に相違がありましたが、最終的には当方の評価額を採用することを前提として、Hさんの死亡後も発生していた賃料収入も併せた金額の約半分となる2400万円を取得できることになりました。
また、Aさんが生前贈与を受けていたとの主張には証拠がなく、そのような贈与は無いことを前提とした解決になりました。
本件のように、遺産を相続すべき兄弟姉妹の間で関係が良くなく、分割の話し合いが進まないという事例は良くあります。
そのような場合に、代理人弁護士がついて遺産分割調停を申し立てれば、裁判所の選任した有識者である調停委員の先生方が話し合いを仲介してくれることもあり、協議が前に進むということがよくあります。
本件では不動産の評価が争点となりましたが、このようなケースは良くあります。この争点については当事務所の弁護士から某県の不動産鑑定士さんに不動産価格の簡易鑑定をお願いし、その結果を提出したところ、当方の意見に概ね沿った調停が成立しました。
また、本件では、九州からかなり離れた某県の家庭裁判所にて調停が行われましたが、当方の意見聴取は電話会議を利用して行われ、一度も某県に出張することなく解決をすることが出来ました。
このように、遠方の遺産の分割協議で揉めている場合にも、出張費を掛けずに解決できる場合がございますので、そのような案件でお困りの方はご遠慮なくご相談ください。
A1さん(女性 40代)は、亡夫A2さんとの間に、A3さん及びA4さんという2人の未成年の子があった。
A2さんが亡くなった後である平成20年某月某日、A2さんの父であるHさんが亡くなった。
Hさんの相続人としては、A3さん及びA4さん以外に、Hさんの次男であるBさんがあった。
BさんはHさんの生前にHさん宅に出入りするなど交流が多く、遺産である預貯金の明細や預貯金通帳の所在等について把握していると推測された。
Hさんの遺産として預貯金があったとする場合、その預貯金は、Bさんが2分の1、A3さんが4分の1、A4さんが4分の1を取得すべきです。
A1さんは、A3さん及びA4さんの法定代理人母として、Bさんが管理しているHさんの預貯金を分けてもらう協議をしたいと考えていました。
しかしながら、A1さんがBさんに対し「Hさんの遺産である預貯金の明細を教えてほしい」といった電子メールを送信してもBさんからは何らの返事もなされないという状態が数年間続きました。
A1さんは不審に思い、A3さん及びA4さんの法定代理人として、遺産に係るBさんへの請求を当事務所の弁護士に依頼されました。
当事務所の弁護士は、Hさんの預貯金をBさんが既に出金してしまった可能性があると考え、各金融機関に照会をかけ、調査を行いました。
その結果、Hさんは生前に2件の金融機関に合計約2500万円の預貯金があり、かつ、その全額がHさんの死亡直後に出金されていたという事実が判明しました。
当事務所の弁護士は、上記預貯金の払戻資料等を精査した上で、これら預貯金は全てBさんが出金したと見られることを前提に、Bさんに対し出金された預貯金の半額を支払うように求めましたが、任意の支払いはなされませんでした。
当事務所の弁護士はA3さん及びA4さんの代理人としてBさんに対し、不当利得返還請求訴訟を提起しました。
訴訟の中で、Bさん側は、2500万円出金を認めた上、その一部がHさんの医療費支払いその他の経費に使用された、Hさんの葬儀・納骨堂購入費用に使用された、Hさんが生前にA2さんに多額の金員を貸し付けていた、等々の主張を展開しました。
当事務所の弁護士は、Hさんの経費として使用された金額以外の点について、Bさん側の主張は認められないことを主張しました。
審理の結果、BさんがA3さん及びA4さんに対し各750万円(合計1300万円)を支払うとの和解が成立しました。
被相続人の身近にいた相続人が、被相続人の死亡された後で、遺された預金通帳や印鑑を利用し、他の相続人らに無断で被相続人の預貯金を出金してしまう、というような事例があります。
このような行為が疑われる事例では、他の相続人らは出金した相続人に対し、不当な利得の返還を求めることができますが、出金した相続人が事情を説明しようとしない場合、金融機関に直接照会をかけて不当な出金の有無を調査する必要があります。
当事務所では、このような預貯金調査についてノウハウがありますので、「遺産である預貯金の有無や明細について説明して貰えない」といったケースでは、ご遠慮なくご相談ください。